失われた場所について

04.06.2015

失われた場所について:導入編

04.06.2015

失われた場所について:導入編

[イントロダクション]
世界遺産へ登録勧告された軍艦島(端島)に代表される産業遺産、かつては沢山の人々で賑わったであろうホテルや遊園地、忘れ去られた戦争遺構、役目を終え打ち捨てられた廃車両−−連載第1回目の今回は導入編ということで、そんな失われた場所(Lost Places)に関して季節毎の魅力と諸々の注意事項について写真と共に紹介していく。
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[注意事項]
大切な事なので、まず、最初に記載する。

失われた場所(Lost Places)の撮影はリスクと隣り合わせである。
それは大きく物理面でのリスクと法律面でのリスクに分けられる。

物理面でのリスクについて。
錆びた階段、腐って脆くなった床、ガラスの破片、野犬、害虫、これらはどれも失われた場所(Lost Places)には付き物の典型的なリスクである。
失われた場所

法律面でのリスクについて。
”失われた”場所とは言え、その所有権までは失われていない事がほとんどである。
管理されている敷地内に無断で立ち入った場合、法律に抵触する可能性がある。管理者の許可を得て立ち入る事で、このリスクを回避する事ができる。
失われた場所について
以上の点については十分な理解と注意が必要である。

 

[季節毎の撮影と注意事項について]
春について。
春は気温の変化がやや激しいものの、基本的には撮影に適した季節と言って良いであろう。しかし、冬の間は身を潜めていた害虫たちが活動し始める時期でもある。

ヒルは4月頃より活動を開始するため生息地においては注意が必要となるが、後述する夏の害虫たちに比べるとヒルがもたらす吸血という被害は大変かわいいものである。
失われた場所について

夏について。
夏の撮影は過酷である。焼けつくような日射しがじわじわと体力と気力を奪っていく。
人の管理から離れた植物たちは自由奔放に生い茂り、重なり合った草木を踏破する為には藪漕ぎが必要となる。
蜂やマムシ、毛虫、マダニ、蜘蛛といった害虫は活動領域を侵す撮影者に容赦なく襲いかかり、最悪の場合、死に至る。

しかしながら、失われた場所(Lost Places)がその美しさを最大限に発揮するのもまた、夏という季節なのである。
失われた場所について
世間一般を見渡すと、人々は、海やプールで遊んだり、川辺ではバーベキュー、ビルの屋上にあるビアガーデンで冷えたビールを飲んでいる。
そんな中、長袖に身を包み、重い機材を背負い汗だくになりながら藪漕ぎをする。蜘蛛や毛虫に怯え、蜂から必死に逃げる。
「自分はいったい何をやっているんだろう?」という疑念が湧いてくる。これも(慣れるまでは)精神的になかなか過酷である。
失われた場所について

秋について。
秋は暑すぎず寒すぎず、草木は枯れ始め、害虫の活動も終息していく。
撮影に適した時期と言って良いだろう。言うまでもなく、紅葉との組み合わせに心躍る季節である。
失われた場所について
冬について。
雪の降らない地域においては、草木は枯れ果て、害虫の数も減り、適切な防寒をすれば秋と同じく撮影に適した時期である。しかし、雪の降る地域においては、過酷な撮影となる事を覚悟しなくてはならない。雪の世界に覆われた失われた場所(Lost Places)はとても美しいが、無理は禁物である。
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失われた場所について

[最後に]
限られた文字数の中ではあるが、少しでも失われた場所(Lost Places)の魅力と、撮影にあたっての注意事項をお伝えする事が出来たなら幸いである。前述の通り、撮影に伴うリスクも多く、諸手を挙げて推奨できるものではもちろん無いが、それでもなお、失われた場所(Lost Places)の撮影に行かれるという事があれば、どうかマナーを守り、そしてなによりも御安全に。

 

 

最後の最後に…
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失われた場所(Lost Places)にお化けはいません。

 

 

啝(わ)

失われた場所クロニクル
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2006 志免炭鉱竪坑櫓に衝撃を受け、写真を撮り始める
2013 グループ展「廃墟展6」(彩珈楼ギャラリー)
2014 グループ展「廃墟展7」(彩珈楼ギャラリー)
二人展「コウサテン」(デザインフェスタギャラリー)
グループ展「ハイキョテンVol.1」(Gallery cafe bar LIS)

 

以下、今後の出展予定

グループ展「史上最強のインスタグラム展」(Photons Art Gallery)
2015.6.15-6.21
グループ展「廃墟展8」(彩珈楼ギャラリー)
2015.6.15-6.28
個展「失われた場所プラニスフィア」(オリンパスギャラリー)
東京会期:2015.10.30-11.4
大阪会期:2015.12.4-12.10
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