- サマリー
俳優の兒玉 宣勝くんのポートレート撮影をした。
兒玉くんとは10年以上の友達でもあり、わたしが過去に撮影を担当した映画にも出演している。今回は児玉くんのポートレート撮影で利用した機材やカメラセッテイングを紹介しながら、ポートレート作品も紹介したい。 - 撮影環境と事前準備
撮影は都内にある会議室を利用した。照明を使うので、外光が入らないように窓のない会議室を選んだ。兒玉くんには、私服に加え、衣装としてスーツ、ジャケットなどを持参してもらった。わたしはカメラに加えて三脚や照明などの機材を持参した。なお、ポートレート撮影のためにスタジオや会議室を借りる必要はない。あなたが撮りたいと思うポートレートが撮れるところであれば、公園でも、路上でも、そして自宅でも撮れるのだ。
今回は、照明を使っていろいろな撮り方の実験をしたかったので、自然光の影響を受けず、かつ撮影に集中できる場所を選んだ。 - 機材
今回利用した機材を紹介する。
先ず、カメラは5D Mark IIそしてレンズがSIGMA 24-105mm F4 DG OS HSMの組み合わせ。
そして、サブカメラとしてSonyのα7IIとレンズはVario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSSを使った。三脚は動画撮影にも利用しているマンフロット MVH500AH,755CX3の撮影キット。照明はMLS900FTを利用した。MLS900FTにスナップティルトヘッドMLH1HSを装着し、ライトスタンドMS0490Aに刺して使う。 - MLS900FTについて
MLS900FTはとてもパワフルでかつ機能的なLEDライトだ。光量の幅があり、かつ3200Kから5600Kに色温度が変更可能なので、被写体に当てる光の色を冷たい色から暖かい色で選ぶことができる。色温度は写真の雰囲気を大きく左右する。例えば、屋外でポートレートを撮影して自宅のPCで作品を確認した時、ホワイトバランスが自分の求めるものと異なったことはなかっただろうか。そのような時はLightroomまたはPhotoshopなどを使って調整するが、屋内で照明を利用して撮影をする際は、被写体に当てる光が色温度を左右する。これがコントロールできるのは撮影後の編集作業を容易にする。
なお、ポートレートの撮影をする際は、会議室の天井に付いている蛍光灯は消して、MLS900FTの照明だけで撮影を行った。
- ポートレート撮影のコツ
ポートレート撮影に費やした時間は2時間ほど。
いろいろな角度から光を当てて写真を撮ったが、最終的に正面から光を当てた写真が気に入ったので、MLS900FTをカメラのアクセサリーシューに装着して撮影を行った。
カメラは三脚に装着したままである。いくら照明があっても手のブレが写真に出てしまったらポートレートが台無しになる。
今回の撮影は、屋内でかつ照明が一つだった。F値やISO、シャッタースピードのセッティングで都度条件は変わるが、今回の撮影環境でカメラを手持ちした場合、ブレが出てしまうリスクが大きかった。加えて撮影は2秒のタイマー撮影で行った。ブレを防ぐにはシャッターが切られる時にカメラに触れていないのが一番である。カメラを三脚に設置した上で、構図を決め、そして2秒のタイマーで撮影という方法で撮影した。なお、リモコンを使ってもカメラに触れずに撮影ができるのでブレを心配しなくて良い。また、2秒待たずに撮影できるのでシャッターチャンスを逃すことも少なくなる。
- ポートレート
兒玉くんが旧知の友人ということもあって、終止雑談をしながら撮影ができ、わたし自身も楽しめた撮影だった。
撮影した写真から4枚を紹介したい。
兒玉くんが俳優ということもあり、表情を変えることやポージングすることに対して恥ずかしさや躊躇は全く感じられなかった。だから、今まで通り、写真でも演技してもらうのは問題なかったと思う。
でも、今回の撮影では、今まで映像で見てきた役に成り切っている兒玉くんではなく、過去に見たことのない兒玉くんの表情が撮れればと思って撮影に挑んだ。 - 最後に
最後になるが、撮影時のカメラセッティングを紹介したい。
各写真で微妙に異なるが、ほぼ以下のセッティングで撮影した:焦点距離:105 mm
フラッシュ:Off
撮影モード:Aperture-priority AE
シャッタースピード:1/4 – 1/8秒
絞り数値: F5.6
ISO感度:400もしスタジオで撮影を行っていたら、照明も一つではなく複数あり、背景には背景紙を使えたりなど、さらに緻密なコントロールができ、カメラセッティングもまた異なるものになっただろう。
今回は会議室で照明1つという状況だったが、被写体と機材や撮影場所をふまえ試行錯誤の中で撮影したのは楽しかった。幸いなことに兒玉くんも今回の撮影が楽しかったと言ってくれて、また別の機会に別の場所で撮影することになった。
ポートレート撮影は楽しい。また照明が一つあるだけでも、表現の幅を広げることができる。ぜひ読者のみなさまもポートレート撮影に挑戦してみてはどうだろうか。
スギウラマサノリ
2000年から2006年までニューヨーク大学で現代美術、国際写真センターで写真を学び帰国。現在はオリジナル作品を創るクリエイターのための作品投稿 コミュニティPictboxの編集長をつとめる。また、映像制作チーム155worksの撮影監督として映画やミュージックビデオなどの撮影を手がける。
https://instagram.com/agitoy
https://vimeo.com/user9765499
http://photography.agitoy.com/
http://pictbox.jp/
※スギウラさんの撮影アイデア等、Manfrotto Imagine Moreでの記事はこちら