12.01.2015

ジャケット写真は広告媒体 1 〜主張しすぎない、通り過ぎる写真

12.01.2015

ジャケット写真は広告媒体 1 〜主張しすぎない、通り過ぎる写真

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「写真やってたよね?ちょっとジャケット作るの手伝ってくれないかな?」というのは、インディーズではよく聞く会話。「あぁいいよ」とカメラを取り出して パシャッ…ん~こんなもんかな?とお互いに思いつつも文字を入れて印刷して…どっちも納得度半分ぐらいなんて話はよくあるケース。プロに頼むと高そうだし、でもジャケットないと配れないし…ということで、インディーズの方々に贈るプロっぽいジャケット作成のコツのようなもの、それとそれに関係している持論の「通り過ぎる写真」というコンセプトについて、数回に分けてお話ししようと思う。

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ジャケット写真は真四角写真

ジャケット写真、いわゆるジャケ写っていうのは普通に考えると何が違うの?という感じだが、真四角写真であるということが大きな特徴。普通は真四角写真なんてそう多く撮ってるものじゃないはずだから、頭の中だけで真四角写真を意識して撮るというのはなかなか難しいかも知れない。失敗を減らすには、思った絵面の周囲に多めに余白を残しておくといい。例えば横長写真を真四角にトリミングするにしても、左右だけを切り抜くような構図にしてしまうと上下とのバランスを撮る時に考えなければならず、それが故にハードルを上げてしまう。上下も1~2割程度切り抜ける様にスキマをあけて撮る。昨今のデジタルカメラは高画素なので、フレームに対して多少小さくなってしまったとしてもジャケットサイズ程度であれば問題になることは少ないだろう。

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文字が入る余白が必要

当たり前だが、写真として完成していても文字を入れた途端にダメになるケースも多い。ジャケ写は広告の一種であり、伝えなければならないことというものが存在する。しかもそれ、つまり写真そのものに触れる人は一般人であり、特に写真等に造詣が深い訳ではない。アーティスト側は、「顔を売りたい」という基本意思があるので、顔を入れつつ、曲のタイトルと歌い手の名前が目立たなければ意味がない。写真だけ綺麗に撮れていれば良いという具合にはいかないのだ。

文字の色は何色か、どこに入れるのかを撮影前に打ち合わせしておくといい。もちろん、事前に「こんな感じ」と著名アーティストのジャケットで予習しておくとなお良い。まぁ色々な理由で思った通りには絶対ならないのと、撮っている最中にアイディアが出ることが多いので、あまりかっちり決めなくてもよく「およそこの路線で」ぐらいの感覚で打ち合わせておくと良いだろう。

被写体であるアーティストの大きさをどの程度にするのかも撮る人にとっては大きなファクター。お顔どーんなのか、バストアップなのか、はたまた全身なのかで印象と余白が違う。全身の場合は余白が多く取れて文字を入れやすいという利点がある代わりに、余白となる背景を取りにくいという難点がある。予算との兼ね合いになってしまうのだが、スタジオで撮れるなら背景は気にしなくてもよいのだが、自宅や近所で撮るのであれば、バストアップがそこそこ余白もあってオススメ。

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レフだけは用意しよう

さて、実際に構図も衣装も決まって撮影…となる訳なんだけれど、屋内で撮るにせよ、屋外で撮るにせよ、レフ板だけは用意しよう。レフ板とか書くとなんかプロ機材っぽくて難しいんじゃないの?と思ったり、高くてそんなもの買えないよと思ったりするけれど、実はそこまで仰々しいものである必要はなく、100円ショップでA3ぐらいの白い発泡スチロールの 大きめの板を2枚買って、長辺をガムテープでつないで本のように開くものを用意すればいい。

本来レフ板というのは色々な用途があるんだけれど、さしあたって首の下に出来る影を消すのが大きな目的。開いて胸の前あたりに持ってもらうといいだろう。全部消えるということは期待せず、かなり薄くなる程度に調節すればよいだろう。

どうしても(光の加減とか向きとかの関係で)首の下の影が目立つようであれば、首の下が写らなければいいという発想の転換も必要。極端に上から撮れば必然的に首の下は見えない領域になるということを覚えておくといい。

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ポートレイトモードでJPG

俺様はプロ並みで現像もレタッチもばっちりだぜという御人は好きなモードで撮ればよいと思うけれど、そうでない場合はポートレイトモード(あれば)、JPG、最大サイズで撮れば、細かいところはカメラがやってくれる。もしISOを気にするのであれば、ISO上限は800ぐらい、下は100、よくわからなければフルオートでも可。カメラ機材のページにそんな誰でも知っていること書いて…と思うかも知れないけれど、目的を持って人のために撮るという行為は、ちゃんと写っていることが最優先。だからカメラ任せ。最近のエントリ~ミドルクラスのJPG出力は全自動である程度美肌にしてくれるし、トーンも揃えてくれる傾向があるので。

もうひとつ、ある程度オートで撮るということは、先にも書いた通り細かい設定をしなくてもシャッターを押せるということにつながる訳で、それはつまり1シャッターにかける時間が短いということにつながる。その分多くのポーズや構図を撮れることになるので、アイディアが出やすいという利点もある。決められた時間内にそれなりのクオリティの絵をある程度量産しなければならない、という大前提があるからだ。

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さて、構図もなんとか想像がついた、レフも100円ショップで用意した、カメラの設定もポートレイトにした。次回は実際に撮る上で注意したいところをお話ししたい。

※ マンフロットの兄弟ブランド Lastoliteでは、片手で簡単に持って光や影をコントロールできるレフ板(リフレクター)を多数、揃えています。

蒼井 螢(アオイ ケイ)

グラフィックデザイナー→ソフトウェアエンジニア→カメラマンという変わった経歴を持つ。レタッチャーとしての実績も長く、インディーズから著名アーティストまでジャケット制作多数。「通り過ぎる写真」「カメラマンと写真家は違う職業」というのが持論。
写真は猫と女しか撮らないらしい(例外があるらしい)。
http://www.vjcatkick.com/
今回のモデルは、現在売り出し中の新人「友莉夏」(Yurika)。デビュー曲「Heartbeat feat.友莉夏」がiTunes等で絶賛配信中。
http://rypp.studiow4m.com/?p=517

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