みなさんは何色が好きですか。
写真を撮る時に意識する要素のひとつ、色彩。色は光と照らされた物体によって変化しますが光そのものに色は存在しない、つまり透明なんだそう。
でもそれを見分ける力が人にはある。
わたしの父は先天性の色覚異常の遺伝子を持って生まれました。光の情報を受け取る機能が不足している為、幾つかの色の識別ができません。元々フィルターのかかった瞳で世界を見ている、と言えば分かりやすいかな。
そんな父がわたしにカメラに触れることの楽しさを教えてくれた最初の人でした。不思議かもしれないけど、父自身は写真や映像がとても好きな人で、その素晴らしさを幼い頃から自然と受け入れて生きるように育ててくれたように思います。受け継がれたのは遺伝子だけではなく、その意志というか。
誰かの眼に映る世界を知りたいと強く思うきっかけをくれた父の写真はわたしが見てきた世界と何も変わらないけど、そのフィルターを通していても温かな色をしている。
そういえば色覚異常には幾つかのタイプがありますが、そのほとんどが青は青のままに見えることをご存知ですか。だからではないけど、青という色にはとても思い入れがあります。わたし達が住む星の色とも言われているこの色。
他愛ない日々の中に在る小さな呼吸のような一瞬を、この大好きな色と共にあなたの眼に届けたい。わたしというフィルターを通して。
でもね。
写真に触れる度、今でも考えるんです。
本当にこの空は青いんだろうか、と。
「あなたは何色が好きですか。」
※先天性色覚異常は日本人の約5%以上が該当するそうで。程度に差はあるものの、まれではなく男性の約20人に1人はこれに当たると言われています。そして発症するほとんどが男性で女性は保因するのみで留まるそうです。
6151|Rokuichi goichi
「本当に大切なものは目には見えないとあなたは云うけれど、僕には確かめたいことがあるんだ。」
東京を拠点に写真展やWebで活動中。 珈琲と愛機の傍らで今日もぼんやりと空を眺めています。
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